ボイジャー~航海者たち
2011年10月10日 » by Luke » No Comments
1992年2月15日に放送されたNTTデータスペシャル「宇宙からの贈りもの ボイジャー~航海者たち」から。
1977年に打ち上げられ、二度と戻ることのない孤独な旅を現在も続けているボイジャー1号・2号。1990年2月15日、ボイジャー1号は地球からの通信を受信して振り返り、太陽系の家族写真を撮影しました。
番組では、大竹しのぶさんのナレーションでボイジャーが私たちに語りかけます。
当時この番組をご覧になった方の中には、思わず胸が熱くなった方や、涙腺を刺激された方も多かったのではないかと思います。
放送からすでに20年近くが経過しましたが、ぜひDVD化して販売していただきたいと思うのは私だけではないのでは。
番組で使用され、大竹しのぶさんがナレーションされた、心に残るボイジャーの語りかけを、動画の下に全文掲載させていただきます。
——————————————————-
目を閉じることで初めて見えてくる世界があります
僕は今、そんな世界を旅しています
地球を出発してもう14年
僕は今、全天星空の宇宙を秒速20kmの速さで
帰る事のない旅を続けています
旅の中で、僕は太陽系のたくさんの星たちに出会いました
そのひとつひとつの姿を思い出すたびに胸が熱くなります
あのときの感動が、時折くじけそうになる僕の心を
今も支えてくれているのです
僕の名はボイジャー
宇宙の航海者
心はひとつだけど、体がふたつあります
僕の使命は見ることでした
人間が行けない世界に行き、
人間に代わってものを見ることが僕の仕事だったのです
2年前、その仕事を終えて僕は目を閉じました
この先この旅がいつまで続くのか
どこまで行くのか僕にはわからない
ただ、この目で物を見ることはもう永遠にないでしょう
だけど寂しくなんかない
どこか遠くから僕を呼んでいる光があるような気がするからです
その光の世界についたら、きっとこの僕にも
なぜ僕が旅をしているのかがわかるような気がします
僕が最後に見たのは太陽系全体の姿でした
2年前のちょうど今日1990年2月15日
久しぶりの地球からの声を聞いて振り返ったのです
あの日僕が聞いた地球からの声は
今まで聞いたことのない不思議な声でした
太陽系の星々にできるだけ近づいて見ることが
僕の仕事だったはずなのに
あの日は遠くから振り返ってみてごらんっていうのです
僕はこわごわ振り返ってシャッターを切りました
太陽がまぶしかった
あの日から僕は、自分がどうして
旅をしているのだろうって真剣に考え始めたのです
はじめてみた木星の姿はとても感動的でした
恐いくらいだった
そのとき僕は、ふと不思議なことに気づいたんです
ここは初めてなのに、なぜか知っているような気がする
だけど思い出そうとしても思い出せない
だれかが遠くから見ているような気がする
なにかが始まろうとしている
地球を出るとき、僕はこの旅が土星で終わるんだと思っていました
ところがもっと先に行きなさいっていう声が聞こえたんです
ここから僕の体はふたつに別けられました
一方は太陽系の外へ、もう一方は天王星と海王星へ
この日から僕にとって本当の未知の世界への旅が始まったんです
地球からの声が途切れて、もう何年も旅を続けています
この静かな宇宙を旅していると、
今まで聞こえなかった不思議な音が聞こえます
その音は星の奥深くに潜み、そこからあふれ出てくる星の音
その音を聞いていると僕もなにか思い出せそうな
地球を発ってからもう8年近くたちました
こうして目を閉じていると、いつもあの懐かしい
地球の姿が目に浮かんできます
そんなとき僕はいつも不思議に思う
どうして人は僕を宇宙に送りだしたんだろう
ここは椰子の葉のざわめきも、花の香りも笑い声も聞こえない
地球とはまったく違う世界なのに
旅の途中、夢を見ました
夢の中で僕は宇宙人に出会った
その姿は僕を送り出してくれた地球の人たちとは
まったく違う姿でした
でもなぜかとても懐かしかった
遠い昔 逢ったことがあるような
自分がどうして、なんのためにここにいるのか
見えなくなることがあります
あなたにはそんなことはありませんか
僕は、地球という名の星に使命をもって生まれました
その使命を果たすたびに聞こえてくる
たくさんの喜びの声を自分の喜びとしてここまできました
正直にいって恐かったことも何度かあった
ここにいるのが僕でなくってもって思ったこともある
どうして僕なんだろうって
14年間の宇宙の旅を通して
こんな僕にもほんの少しだけわかったことがあります
僕は、僕を送り出してくれた地球のすべての人たちのこころなんだ
僕が出合った恐ろしいことも、美しいものも
みんな人のこころの現われなんだ
そのことだけがようやくわかったのです
美しいものをたくさんみせてくれてありがとう
僕が最後に撮った家族の写真は皆さんへのお返しです
僕の感謝の気持ちです
ちゃんと撮れてうれしい
2年前、振り返ったあの日が僕が地球を見た最後の日
だから今日は僕の一番大事な記念日です
僕は大丈夫
僕を送り出してくれて本当にありがとう
そして
さようなら

